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2019.08.31

  • 職員

総和苑生活を振り返って

介護課長の高橋秀明です。
令和元年9月1日付で系列の社会福祉法人穏寿会特別養護老人ホーム裕和園へ転籍することになりました。
ご利用の皆様およびご家族様、地域の皆様、同業関係者様、そして総和苑で一緒に働いていた職員の皆様に心より御礼申し上げます。
平成16年に新卒で入職し15年半が過ぎました。未熟だった自分が、総和苑という舞台で仕事を通じて少しずつ人間的成長が図れたのは、関係する皆様の応援があったからこそです。本当にありがとうございました。

印象に残っていることを2点書かせていただきます。 僕が入職してからしばらくは居宅復帰される方も年に数人程度。長期入所施設となっていました。 転機は平成25年4月。本来の介護老人保健施設の役割である「在宅復帰・在宅療養支援施設」に舵を切り、少しずつ居宅復帰される方が増えていきました。 平成26年7月からは「在宅復帰・在宅療養支援機能加算」の算定を開始。1年に40名~50名くらいの利用者さんが居宅復帰するようになりました。 そして居宅に変えられたとしても、総和苑がサポート(デイケア、ショートステイ、訪問リハビリ、訪問看護に加え、困った時は老健に再入所など)在宅療養支援にも力をいれてきました。今ではショートステイを利用される方は月に40名(実人数)を超え、居宅復帰される方は月平均4名程度となっています。 また、平成27年からは僕が尊敬している先輩からのアドバイスを受けて、「訪問指導(自宅環境の調査)」にもリハビリ課や介護課とともに力をいれてきました。

介護課職員さんたちは徐々に力をつけ、今ではリハビリ課や看護課、栄養課などと密な連携を図りながら居宅復帰や居宅生活をイメージした支援を展開してくれています。これからもご利用者・ご家族様の生活を支える専門家集団として尽力してくれることを期待しています。

2点目はデイケアについてです。僕がデイケアも担当するようになったのは平成29年8月から。 当時デイケアはなんでもかんでもやって差し上げる「おもてなし」が主流でした。「おもてなし」も大事だけど、私たち老健職員に求められていることをひも解き徹底的に話し合いを重ねました。 話し合いの根拠にしたのは介護老人保健施設の基本方針 第一条の二  介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上 の世話を行うことにより、入所者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることとともに、その者の居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。 2 介護老人保健施設は、入所者の意思及び人格を尊重し、常に入所者の立場に立って介護保健施設サービスの提供に努めなければならない。 3 介護老人保健施設は、明るく家庭的な雰囲気を有し、地域や家庭との結び付きを重視した運営を行い、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、居宅介護 支援事業者(居宅介護支援事業を行う者をいう。以下同じ。)、居宅サービス事業者(居宅サービス事業を行う者をいう。)、他の介護保険施設その他の 保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければならない。 この法文の一字一句に込められた意味を読み込み、みんなで自分たちのあるべき姿を考えていきました。

総和苑生活を振り返って

職員さんたちが出した答えは写真の通りです。今までは利用者の「有する能力に応じずに、代行・管理が多かった」反省をふまえ、食事の下膳と飲み物については可能な限り「有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう」に支援内容を変更しました。自分で食べたものは自分で片づける、自分で片づけることが難しい人には利用者同士が助け合う(または職員が代行する)姿があちこちでみられるようになりました。

総和苑生活を振り返って

歩くことが不安定な利用者さんでも「おれも自分でやるよ」と言い、職員が付き添いながら下膳します。決して利用者さんに強制するわけではなく、利用者さんが主体的、能動的に。そのような環境をつくった職員たちはプロだととてもうれしく誇らしく思いました。

総和苑生活を振り返って

一律画一的にお茶を提供していた飲み物もドリンクバーを設置して自ら飲み物を選んで飲めるような環境に。 飲みたいときに飲みたいものを選択できることは利用者の立場に立った環境だと思います。「自分のことを可能な限り自分で」という自立支援と「自分のことは自分で決めることができる」自律支援。もちろん自分で獲得できない方には職員が「〇〇と〇〇と〇〇がありますが、どれを飲みたいですか?」と意思を確認しながら代行します。また利用者さん同士が「持ってきてあげるよ」「コーヒーにミルクは入れる?」など助け合う姿があちこちに。 基本方針 「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすること」 「入所者の意思及び人格を尊重し、常に入所者の立場に立って介護保健施設サービスの提供に努めなければならない」 「明るく家庭的な雰囲気を有し」 この法文の意味を職員さんたちは理解しています。

総和苑生活を振り返って

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総和苑生活を振り返って

僕はこの仕事に就いて15年半。出会った方々は1500人を超えました。大半の方は「こんな身体になっちゃってつらい」「こうは(介助が必要な状態)なりたくなかった」「施設は利用したくない」というネガティブ思考でした。僕は大変おこがましいですが、そんなネガティブ思考の利用者さんたちが「こんな身体になっちゃってつらい・・・けれどもあなた(専門職)に出会えたから、また前向いて生きていこうと思えるようになった」と一人でも多くの方に思ってもらえる専門職でありたい考えます。そのために専門職である自分たちの知識・技術・意識を高める必要がある。限られた人、時間、物などの中で「あきらめる・割り切る・嘆く」にとどまらず、創意工夫をしながらできることを増やしている総和苑の職員さんたちです。創意工夫し実践している職員さんたちだからこそ、利用者さんたちの暮らしぶりや姿が以前よりも向上していると実感しています。

今日の12時30分に大勢の介護課職員さんたちからサプライズが。職員さんたちの前では感情を表に出さないようにしていたのですが、堪えきれませんでした。そんな温かい仲間たちと一緒に仕事ができたことを誇りに思っています。

これからも皆さまに応援していただける総和苑であってほしいと僕は願っています。今まで培った総和苑職員さんたちとの関係性をこれからも大事にして、僕も明日から新しい環境でがんばります。今まで本当にありがとうございました。

                      介護課長 高橋 秀明

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